おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

これは息子の骨です


 
バイクと大型ダンプとの衝突交通事故がおきました。
 


一人の若者が、旅立ってしまいました。


ご遺体の損傷がひどく、特にお顔部分が傷ついていましたので、
 
納体袋という黒いビニールの袋に全身を入れ、お棺に納めました。


警察の霊安室での本人確認は、お兄さんが行いました。 
 
    「ご遺体がヒドイ状態ですから」 
 
と、警察に言われ、母親は対面する事が、かないませんでした。


ご遺体を見ていない母親は、息子の死を実感できません。


 
茫然自失のまま葬儀は進行し、火葬場の扉が閉まりました。



数時間後、お骨上げになりました。  


扉が開き、台車に乗った、お骨が出てきます。
 


母親が
    「○○ちゃん」


と叫びました。


大腿骨が大きな金属の棒で固定されていました。
 


仏様は、数年前にバイク事故で骨折をして、下半身を金属で繋ぐ
大手術を受けたそうです。付き添いの母親も、手術前の説明で
金属棒を見せられ、驚いていたそうです。


    「やはり、○○ちゃん、死んじゃったんだ」  


母親がポツリとつぶやきました。


お骨が骨箱にすべて収まり、火葬場職員が金属棒を処分しようとした時に
母親の口から、絞り出すように叫んだ言葉が、ブログのタイトルです。

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