おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀費用は税の控除対象

相続税とは、亡くなった親や配偶者からお金や土地などの財産を相続した場合に、その相続した財産に課される税金の事です。ただし財産を相続した人全員に相続税がかかるわけではありません。ほとんど方には控除が適用されて税金を払わずに済む方もいます。相続税が掛かるかを判断するにはどうすれば良いのでしょうか?


シロウトには難しいので司法書士や弁護士に頼む方が大多数です。財産を相続した場合は、原則としてその相続した財産のすべてに必ず相続税がかかります。相続税の課税対象になるのは土地と建物、そして現金などの財産等、金銭に見積もることができる物です。亡くなった時点で所有していた故人の財産が相続税の対象なのです。現金はもちろんの事、預貯金、株式等の有価証券、ゴルフ会員権、貸付金、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべての品物なのです。


被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「死亡退職金」なども相続によって取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。ですが故人の財産から差し引かれる項目もあります。


例えば葬式費用です。葬儀屋の支払いはその全額を財産から差し引くことができます。ただし、墓石と墓所購入費用、香典返しや法要の費用は葬式費用に含まれません。皆さんが気にするお寺に払った高額のお布施も相続財産から控除できる項目です。お布施の費用を控除できる理由は相続税を計算する際にお布施を葬儀費用として扱うためです。ただし、すべてのお布施を控除できるわけではありません。初七日以降のお布施は控除の対象外となります。お布施はお葬式を行う上で社会通念上一般的とされています。そのためお布施を含めた葬儀費用は必要な支出とみなされるので、相続財産から差し引きできるのです。


お布施以外にもお葬式関連では相続財産から控除できるものがあります。知っておくと控除総額を増やすことが可能です。死亡診断書の費用、葬儀場までの交通費、遺体の搬送費用、火葬料と埋葬料、お手伝いや霊柩車運転手への心付け、納骨費用などが対象です。これだけで数万円になりますからおろそかに出来ません。


申告の際に控除できる内訳を説明します。基礎控除額の計算式は、基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。例えば相続人が被相続人の配偶者と子2人の場合、法定相続人数は3人で、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となるので相続税の課税価格が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。仮に上回った場合であっても、小規模宅地等の特例の適用を受けることで土地の課税価格が減額され、その結果、課税価格が基礎控除額以下になる場合もあります。


皆様にお知らせします。臨終からお骨上げ迄の葬儀費用の領収書は必ず取っておきましょう。後日の相続税支払いの控除となります。税務署や司法書士に見せることで控除が受けられます。余計な相続税を払わずに済むのです。ご家族が亡くなられてからは、お葬式の準備などに忙しくなってしまい、領収書の管理などおろそかになりがちです。お葬式を終えた後に家族トラブルの原因となりやすいのが相続の問題です。


「自分には関係がない」と思っている方も多いかもしれません。しかし相続税の対象となる方は10人に1人です。関係ないからと思い込んで何も知らずにいると、相続できる金額が減ってしまって結局損してしまうかもしれません。

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