親戚への香典返しは悩む
お葬式の規模が小さくなりました。そして一般参列者からの香典を受け取る習慣も廃れてきています。ほとんどのお葬式で、受付に「故人の遺志によりお香典はご辞退いたします」との案内を出します。お葬式という急な出費を周りが金銭で支えることから始まった香典文化ですが、ご近状や地域のコミュニティの絆も薄れる現在では消えようとしています。
家族葬の場合は、まだ金銭助け合いの香典文化が残っています。少ない人数のお葬式の場合でも、親戚一同に声をかけた場合には集まった親戚はそれぞれ香典を持って来ます。こうなると、受け取った喪家様は後日一段落した後に「香典返しに」頭を痛めます。
香典返しの時期は一般的には四十九日の法要後が目処です。忌明け法要日に発送して法要の翌日に届くように手配します。初七日から忌明け法要までの期間に満中陰法要の準備と並行してお香典返しの準備を進めてください。香典返しは忌明け法要を滞りなく終えた報告にもなります。忌明け法要を営むまでは忌中の期間ですから喪に服している間になり、この期間には相手にもお礼を慎むのが本来の礼法にかなった答礼の仕方だからです。
香典返しの相場は「半返し」と言って、頂いた香典の半額相当の品を贈るのが一般的です。香典返しの品物は「不幸を後に残さない」という意味を込めて選んでください。食べ物やお茶等の「消えてなくなる品物」がおすすめです。食品を選ぶ際には、好き嫌いの好みが分かれない品物を選ぶように心がけます。お茶や海苔そしてお菓子などは銘柄にこだわったり、セット商品にしたり特別感をプラスすると喜ばれます。夏場であれば素麺など、季節に合った品物も一つです。
又、タオルや洗剤それに石鹸などの「保存がきいていくつあっても困らない品物」でも良いとされています。石鹸や洗剤などはセットにして贈るのがおすすめです。又、昔から故人は白装束で旅立つことから「白い色の品物」を贈るのが良いとされている為に「形の違う白いタオル」なども良く選ばれました。
カタログギフトの一時は人気になりました。「せっかく贈るのならその人の欲しいものを」と考える方も多く、相手の好みがわからない場合でも悩む必要がありません。しかし内容にバラツキが多いのと手間賃が掛かるので価格の割に内容が貧相になるのは否めません。
香典返しには向かないので避ける品物があります。解かりやすい考え方としては「お祝い事に贈られることの多い品物は避ける」と覚えておいてください。香典返しでは使用してなくなる「消えもの」選んでよいとされていますが、お祝い事に使われる、お酒や昆布、鰹節などは「消えもの」であったとしても避けた方が無難です。又、肉や魚などの「四つ足生臭もの」と呼ばれるものは昔からタブーとされています。
香典返しは、必ず返さなくてはいけないというわけではありません。事情によっては贈らなくて良いケースもあります。例えば、一家の働き手が亡くなってしまいその子どもがまだ小さい場合は経済的に不安があるのは当然ですから、香典返しを省略するが可能です。又あらかじめ香典や供え物をお断りする旨を伝えていた場合もお返しの必要はありません。ただし香典返しを贈らない場合であっても会葬者にはお礼を兼ねて挨拶状を送るのがマナーです。
香典返しに迷ったときには、上記の内容を参考にしてマナーを理解したうえで、相手先に喜ばれる「香典返し」を贈りましょう。