香典返しにはお礼は不要
お香典を持参してお葬式に参列します。四十九日の満中陰法要が過ぎる頃に、喪家様から香典返しが送られてきます。さてこの品を貰ったら皆様はどうされますか?当然「ありがとうございましたとお礼を言う」と答えた方は間違いです。一般的に香典返しにはお礼の言葉は不要とされています。しかし貰いっぱなしは気が引けると思う方や、遺族の状況を気遣い、香典返しが届いたタイミングで連絡を取りたいと感じる方も多くおられます。ですがなんと言えばいいのかわからないとお悩みの人も多いのです。ほとんどの方はお礼の必要が無いと知っていても、親しい方からお香典返しをいただいたことに、どうしてもなにか一言伝えたいと思うのです。
「品物を頂いたのに何もしないというのはどうしても気が引けてしまう」と思うのは当然なことです。しかしお香典返しにお礼不要とされたには理由があるはずです。四十九日過ぎは家族を亡くされたご遺族にとってお葬式の疲れがドット出る時期です。余計な気を使わせることは何もしないのが一番の対応になります。相手を思いやるからこそ、あえて貰いっぱなしでそっとしておくという選択が生まれました。
又、香典返しの品を頂いたことに対して「ありがとう」は禁物です。香典返しを贈るという意味は身内が亡くなったからです。つまり不幸がなければ用意する必要がありませんでした。この品に対して「すてきな品物」「気に入りました」などという表現は使えません。弔事ではいただいた品物を褒める言葉や喜びを伝える言葉はマナー違反になります。遺族にとっては身内の不幸からまだ立ち直っていない日々ですから、それに対して「結構な品で」と褒めたりするのは避けます。お祝いの品とは事情が異なります。「品物を貰って嬉しい」という感情は封印してください。
届いたからと言って急いでお礼の連絡は不要です。次にご遺族に会った機会に「ご丁寧な品をいただき、恐れ入ります」と一言を添えるのがお勧めです。礼儀と考えて手紙や電話などで改まった連絡では遺族が恐縮してしまう可能性があります。
どうしても連絡をしようと考えた時は簡単に「香典返しが届いた」ことだけを伝えます。電話はあまりお勧めしません。電話はできるだけ手短にしても、どうしても対応した相手を疲れさせます。そして慰めや励ましの言葉をかけてしまうのです。手紙なら「志の品物を頂戴いたしました。少しは落ち着かれましたか」などの気遣う内容が良いです。無事に品物を受け取った報告はマナー違反にはなりません。
LINEやメールなどでお礼を伝える方法も許されてきました。メールは相手を邪魔せず気軽に連絡できるツールです。しかし上司や目上の方、そしてマナーを重視する高齢の方に対しては失礼にあたることもあります。日頃のやり取りをしている友人達が送り先なら問題ないと考えます。内容は「メールにて失礼します。先程ご丁寧な品物が届き大変恐縮しています。その後いかがお過ごしでしょうか。無理せずお身体を大切にお過ごしください。お返事には及びません」が良いと思います。
香典返しを貰ったからと言っても、受け取った返事を直ぐに行うのではなく、次に会った時に一言添えようと考えていれば問題は起きずにトラブルも防げます。喪家様から香典返しに慌ててお礼をするのはマナーに反すると覚えておいてください。