おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

夫婦の別れを考えてみる

長年連れ添った配偶者との永遠の別れを、毎日のように目の当たりにするのが葬儀屋の宿命です。遺された者の深い悲しみや苦悩そして安堵など、夫婦の数だけ異なる別れがあります。夫婦とは他人同士の女と男が、なぜか一緒になり「妻」と「夫」という名前に変わります。そして最後は必ず相手を見送る立場になるのです。最期までお互いを愛して来世でも一緒に暮らしたいと願う夫婦は、なかなか見られないのが現実です。どんなに愛し仲良し夫婦であろうと、いつか必ず別れの日はやってきます。ムラゴンの皆様は、配偶者よりも長生きしたいですか?それとも相手より先に死ぬのが理想ですか? 


業界紙にこんな記事が掲載されていました。「相手よりも長生きしたいと思いますか?」と高齢者夫婦に質問して返ってきた答えです。


妻の解答の内訳です。夫よりも長生きしたいは20.8%。夫よりも先に死にたいは52.5%。解答できないが26.7%となっています。


夫の解答の内訳です。妻よりも長生きしたいは15.6%。妻よりも先に死にたいは55.5%。解答できないが28.9%となりました。


なんと結果は女性でも男性でも半数以上が「配偶者よりも先に死にたい」と答えています。相手より長生きしたいと答えたのは、女性が20%、男性が15%、若干ですが女性の方が長寿願いの割合が多いです。昔は先に夫が死んでしまい妻は長い老後を生き続けると言われていました。現代は高齢者医療が格段に進み、夫が生き残る世帯も多くなっています。


なぜ、夫婦の半数以上が「相手より先に死んでいく」のを希望するのかを尋ねてみました。
妻の理由は「お葬式を夫にやって欲しいから」「相手との別れを経験したくないから」「夫が傍にいる人生がいいから」「好きな夫の見送りはしたくない。残されるのは辛いから」


夫の理由は「最愛の人を看取りたくない」「妻が居なくなった後は大変で辛いから」「妻には長く生きて幸せになって欲しい」「何でも妻に頼っているから、自分が生き残ってしまったら色々とやることが多くなり困りそうだから」


逆に相手より長生きをして配偶者を送る立場を希望する理由にはこんなのがありました。
妻の理由は「夫が一人残ったら面倒を見る人がいなくなり、息子が大変な思いをする」「夫の最期を看取ってあげたい。先に自分が逝ってしまったら、生活面で旦那が困るから」「夫が死んだ後自由にお金を使いたいから」「夫婦仲が悪いので、居なくなった後に謳歌したい」


夫の理由は「妻を看取ってあげたい」「相続がもめるので先に死ぬわけにはいかない」「妻に寂しい思いをさせたくない」「妻に秘密の見られたくないものがあるから死ねない」


こんな解答もありました。「辛い思いはお互いしたくない、二人で同時に死にたい」これは災害死、事故死、事件死になるので絶対にお勧めしません。「共に長生きができるよう、お互い健康的な生活を送りたい」これは人生の過程を大事にという前向きなご意見です。


ともあれ、自分や相手の死去を願っても、理想の結果になるとは言えません。それでも、あえて伺います。皆様はどのように考えますか?

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