火葬の予約で様々な手口
全国的な葬儀業界の集まりがあります。新興してきたネットの葬儀斡旋業者や互助会系は入会しておらず良心的な老舗業者の話し合いです。その中で、この頃話題になるのが「火葬炉の予約が以前に比べて取りづらくなってきている」という問題です。高齢化社会で死亡者の数が格段に増えています。ですが肝心の火葬炉は少しも建設されません。結果、亡くなっても火葬を行うまでの時間が随分かかる様になってきています。
特に関東圏は顕著で「東京では5日以上待たされることは珍しくない」と言い始めた東京の業者がいました。そこに「関西は亡くなられてから3日で終わらせないと、クレームが出てくる」と口をはさんだ大阪の業者が割り込みます。
関西の人間はイラチと呼ぶ気質があるそうです。待つのが大嫌いで行列に並ぶのも嫌がります。まして「少し待ちます」と言われて忍耐強くこらえる精神は持ち合わせません。「火葬場が込んでいて日数がかかる」と伝えると「それならよそを探すわ」と言われかねないのです。火葬場は市町村に一つある公営施設です。もしそこが満杯で火葬の予約が取れない時は、隣の市町村の火葬場を聞いてみるそうです。そうすると、なんとか空いている火葬炉を見つけることが出来ると答えてくれました。しかし、火葬料金が少し高くなるデメリットがあります。それでも関西人は「差額は払うからさっさと焼いて」と言うそうです。
「東京では1週間待つことは珍しくなくなってきています。火葬場が混み合っていますのでと説明すると喪家様も待ってもらえます。関東人は待つことが苦にならないようです」と話し始めた東京の業者です。それでも「早くして」と言われた場合は民間の東京博善の火葬炉を問い合わせます。ここは「最上等」5万9千円「特別室」10万7500円「特別殯館」17万7千円、そして四ツ木斎場に「貴殯館」と名付けられた料金なんと35万円があります。高額な程大概は開いているそうです。破格の料金設定ですが「待つより払う」という喪家様もおらます。ほとんどの皆様は待たれますので、ここ数年はご遺体を預かる冷蔵庫がいつも満杯になると話していました。追加の冷蔵庫の購入も検討しているようです。
弊社の地区でも火葬炉の予約が取りづらくなってきているのは感じています。とくに人気のある時間帯が取りづらくなっているのが数年続いています。火葬後の食事時間に移動する時間帯がスムーズな11時11時半12時12時半の火葬炉も予約が人気なのです。本来は早い者勝ちの予約手続きなのですが、どうやらネット業者の大手がズルイ手口で予約をしていたと言う噂が出てきました。お葬式の依頼を受けてもいないのに、見込みで火葬炉を仮予約で押さえているようなのです。人気のあるお昼にかかる時間帯を数日前から架空の名前で押さえてしまいます。予約が入れば名前を変えて本予約にかえる誤魔化しが行なわれていました。お葬式が入らなければ「都合でキャンセルします」と言い張り、結果他の葬儀屋がその時間帯をとれないように邪魔をしていたのが解ってきました。問題にならないように火葬場の職員に、付け届けや袖の下も渡していたとの噂も聞きました。
当然他の良心的な葬儀屋からの苦情が市役所に入り、現在は無くなりましたが、近年の死亡者の増加から、混雑が顕著になり火葬炉の取り合いに様々な手口が考えられています。
そのうち「最初に空いている火葬炉を探しましょう。そうしないとお葬式が出来ないです」と話し始める日が近いかもしれません。