おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀の後は相続トラブル

皆さんは、お通夜、告別式と一連のお葬式のイベントが終わると、
やれやれ一段落とお思いでしょうが、実は、その後が結構大変です。
 
葬儀屋もお葬式が終われば一件落着とはならず、その後煩雑に相談事に追われます。


簡単に数えてみても、仏壇の購入から、お葬式の時の白木の位牌から塗りの位牌への交換墓地の購入、墓石の手配と名前の掘り込み、49日法要の後の納骨、会葬御礼品発送、各種名義変更、年金の解約、まだまだあります。
 
特に、相続の相談事も多く、個人的には、あまり深入りはしたくないのが本音です。
 
葬儀後に皆さんがよく話題にするのが、銀行の窓口で、亡くなったから故人の預金を引き出したいと窓口で言ったとたん、その預金は凍結されて、一切出し入れが、できなるお話です。電気ガス水道等の光熱費や、携帯代金などの引き落としも、不可能になりますのでほおって置くと電気が消え、ガスが止められ、暮らせなく事態におちいります。


相続手続きが必要ですが、これがめんどうくさい。
話し始めると長くなるので、相続の理不尽を感じた一例だけを取り上げてみます。


皆さんに質問です。
夫を早くに亡くした、奥さんがいました。子供はいません。
その夫の義理の父、そして義理の母の介護を長年続け、先に、義理の母を送り、その後、数年して、義理の父も送って、やっと介護が終わりました。同居した家で、ゆっくり余生を過ごしたいと思っていた願いは、かなえられたのでしょうか? 
 
答えは、相続権のある弟から、この家を売るから出てってくれと言われ、長年面倒を見た奥さんは、無一文で放り出されました。早くに亡くなった夫に、土地や家の名義の一部でも分けてあれば、相続で住み続けることが可能な場合もありましたが、このケースは、亡くなった義理の父が100パーセント持分で、その弟に相続権があり、世話をした嫁には、一銭もいかないのです。相続権は血のつながった血縁で受け継がれ、婚姻関係でできた姻族には 配偶者以外は権利が発生しません。
 
この話を相談されたときは、ずいぶん理不尽な法律だと憤慨しましたが、やはり専門の法律家もそのように思ったらしく、昨年40年ぶりに相続法が改正されました。内容は、配偶者居住権を創設、そして被相続人の介護や、看病で貢献した親族は金銭要求が可能になるとのこと。
もう少し法律が早く施行されていれば、介護や看取りを一人で頑張っていた奥さんが、家を追い出された時の悲しい顔を見ずに済んだはずです。


 相続の問題は 土地、家、お金、の問題でもあり、兄弟、叔父や叔母の
親戚、そして、それぞれの配偶者の思いが複雑に絡む、深刻な問題です。


 お金持ちはくれぐれも覚悟していてください。

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