おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

宗教が必要だと思う理由

無宗教葬が増えてきていると言われています。しかし、現状は未だほとんどのお葬式が仏教で行われます。その仏教も大きく分けると13の宗派があります。天台宗、浄土宗、浄土真宗、真言宗、日蓮宗、法相宗、華厳宗、律宗、融通念仏宗、臨済宗、曹洞宗、時宗、黄檗宗、これ以外にも細かく分けると数え切れないほどの宗派が出てきます。キリスト教にはカトリックとプロテスタントがあります。聖職者の呼び方も神父様、牧師様と違います。神道には多数の信者を集めた伊勢神宮の「神宮教」や出雲大社の「神道大社(出雲大社)教」などと、教祖の神秘的体験に基づいて成立した「天理教」「金光教」「黒住教」そして山岳信仰の流れから生まれた「丸山教」「御嶽教」があります。ニュースになった「オウム真理教」も神道です。政治と関係の深い創価学会、エホバの証人(ものみの塔)、幸福の科学もあります。外国籍の方も多くなりユダヤ教、イスラム教、ヒンズー教、儒教、道教のお葬式もあります。人間は、なぜにこんなにたくさんの宗教を考え出したのでしょうか?


人間がどうしても知りたい事があります。しかし科学や医学がどんなに進歩しても答えが解からない事が3つあるのです。第一は「幸せ」とは何かが分かりません。主観的な心の問題ですから、あることを幸せと感じる人もいれば不幸と感じる人もいます。第二に「私達は何のために生まれてきたのか」を誰も教えてくれません。お互いが殺しあう戦争をしますし平和も追求します。そして自身が住む地球を壊しています。第三は「死んだらどうなるか」が科学や医学ではわかりません。人間は皆必ず死にます。知識が格段に進んだ現在でも、死んだ後の事を解明する技術はありません。ノーベル賞の科学者も天才と言われる人も死後の事は一切教えてくれません。すべての人が直面する死と死後の世界の解答がどこにも見つからないのです。これらの「本当の幸福」「人生の目的」「死後の世界」の3つの問題は人間には解決出来ないのです。


そこで答えの書いてある宗教に頼るのです。これが人類の存続する限り宗教が必要とされる理由です。人間にはどうにもならないことが起きたときに、それを説明するために宗教を生みだしました。宗教の力は人間や自然を超えた存在への信仰と教義、行事、儀礼、施設、組織をそなえた社会集団から生まれました。


これまで人類に大きな影響を与えた宗教があります。キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、儒教、そして仏教の5つです。この宗教は争いごとを生み戦争を引き起こしました。
一方で結婚式やクリスマスなどで人生の喜びや楽しみに必要な要素でもありました。ですが宗教が一番必要だと思われる理由は「死と死後の世界」への解答です。いままでに数多くの人が死の世界を想像しました。その中で一番考えた人が宗教を考え出したのです。


死を考え死後を想像する人には宗教が助けになります。宗教は死について教えてくれます。そしてお葬式には宗教が必要だと思います。亡くなった人を宗教儀式で送るのは、送り出す方が安心と満足感を得ることが出来るからです。仏教に頼りお坊様を呼ぶ理由は、「亡くなった人を迷わず成仏させてあげたい、無事極楽に行かせたい」との願いからきています。


引導と戒名を授けてもらう行為は素人にはできません。修行を積んだお坊様にお願いすることで「ここまでしてあげることが出来た」と言う満足と達成感が生まれます。宗教は人間に恐れと迷いが生じた時に役に立つのです。不安を払拭し安心して暮らす人生には宗教が必要な方がいるのです。

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