自宅看取りのデメリット
前回、自宅での介護についてブログをアップしたところ、もう少し知りたいと言うご要望を頂きました。今回は、自宅での介護から看取りまでの、メリットとデメリットについて綴ってみます。自宅で看取りを行うのは大変な事です。家族全員で内容を充分に知った上で、自宅での看取りを選ぶか、最後は病院に任せるかを決めることが重要です。
自宅で看取りをすることの最大のメリットは、亡くなる方の希望をかなえてあげたと言う達成感を家族が味わうことです。最期まで自宅で療養したいと考える方は多く、住み慣れた家で家族と共に過ごしながら、死を迎えるというのは理想的な形です。家族には故人と最期の時をゆっくりと過ごせたという記憶が残ります。この想い出は、死去後の家族の気持ちに安らぎをもたらします。自宅での介護からの看取りには、病院であれば禁じられることの多い食べ物や飲酒、喫煙なども気兼ねなく行えます。この制限されない最期の自由な時間は、亡くなる方にとっても大きな喜びで寿命が延びるとも言います。病院で最期を迎えるよりも、自宅で看取る方が安く済む場合もあり、金銭面での負担を軽減させます。
デメリットは、やはり家族の介護から看取りへの大きな負担です。24時間365日の間、目の離せない介護は家族にとって肉体的と精神的な疲労につながります。介護者である家族の生活時間が確保できず、ストレスから病人の世話が破綻することも多く起こります。在宅介護とは、同居している家族にとって日々の最優先事項になるのです。特に身体的な機能が低下している場合であれば、三度の食事介護、着替えから入浴介護そして排泄介護が常時必要になります。又、助けてくれるヘルパーさんが自宅に頻繁に訪問することでの精神的疲労も重なります。そして終末期に近づく程必要になる医療行為の負担も出てきます。
家族の介護には、病人のケアがうまくいかず本人の状態を悪化させることもあります。医師や看護師から言われる、定容量の薬を時間通りに飲ませることは家族でも出来ますが、頓服のように「痛みが強い場合に飲む」などと言われると、どの程度の痛みで服薬すれば良いのか解からず、結果、病人を苦しませてしまうとか「体調が悪くなったら連絡をして」と医師に言われても、具合が悪いという判断が素人には出来ず、連絡をためらってしまうことも多くあります。病人の痛みや苦しさへの対応は、病院より劣るのがデメリットです。
病院であれば痛みや苦しさへの迅速な処置が出来ますが、自宅では同様の医療行為の対応が難しく、その結果が最悪死去に繋がると家族には後悔が残る場合もありえます。
終末期の苦しむ姿を家族が目にし続けることになってしまう精神的な辛さもあるようです。さらに恐怖心で介護が行えないということも出てきます。特に死亡前や死亡後の急な容態の変化には後日トラウマになる人も多いのです。死亡直前になるとさまざまな変化が訪れます。声をかけても反応が無くなる、脈拍が弱まる、血圧が低くなる、手足が冷えてくる、顔が青紫色に変化する、呼吸をすると喉がゴロゴロ鳴る、このような変化が現れ、呼んでも身体を動かしても反応がないと臨終です。そばに医師や看護師がいないという不安を抱え、いざと言うときは看護が遅れてしまうという点は大きなデメリットといえます。
自宅で療養したいと考えている方は多く、特に終末期の方などは延命治療を行わずに、自宅で最期を迎えたいと在宅介護を選ぶ方が増加してきました。様々な公共サービスも以前から比べると、随分受けられるようになりました。
在宅介護からの看取りで最も大切なのは、患者本人と同居家族が「自宅での最期」についてのメリットとデメリットを充分に理解することです。