おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

終活は断捨離から始める

終活と言う言葉がメディアで取り上げられブームが起きました。老後になると皆様一度は自分の終活について考えるようです。葬儀屋はよく終活の相談も受けます。終活を考えることは、残った人生を快適にするだけでなく、家族への負担を軽減させる効果もあります。人生の終わりに向けて計画を立て、充実した余生を過ごすための活動が「終活」なのです。


終活で何から始めるかと尋ねられたら、「断捨離です」と答えるようにしています。断捨離は終活の中でも特に重要な要素です。必要ない物を可能な限り処分し最低限度の物品に囲まれて生活をします。断捨離のメリットを挙げると、部屋全体が綺麗になり老後生活の快適性が高まります。不要な物を処分すると、貴方が亡くなった後の家族が楽になります。


終活で断捨離を行うには段階を経て少しずつ進めることが大切です。まずは持ち物の内容を3つの項目に分けます。日常的に使っている物、利用頻度は少ないが捨てたくない物、使う予定がなく捨てられる物です。迷う物はまとめて置き、後で再度考え仕分けをします。


「いつか使うかもしれない」と捨てられない物が出てきた時は、その物が「過去5年間の間に使っていたか」を考えてみます。5年も使っていなかった品物はこれからも絶対に使いません。それでも迷ったら家族に相談します。大概は「誰も欲しくない」と答えます。


断捨離で手を付けやすい品物は衣類です。クローゼットを整理して捨てます。たくさんの洋服を前にして、身体は一つしかないのと、これからの自分はどんどん老いていき外出が少なくなると自覚すると、仕分けと廃棄がスムーズに進むようです。使っていない家具と家電を処分することも始めます。もったいないと古い家電の再利用は危険性も出てきます。


処分の判断に迷ったときは「遺産になるかどうか」を考えてみます。使っていない物でも価値がある物は保管するか、売却してお金に換えることが出来ます。迷ったときは家族との話し合いで決めます。ですが庶民の持ち物は、ほとんど価値がつきません。購入した当時は高額なバッグや衣類なども、劣化していますから持ち込んだお店は買い取りません。


断捨離とは手あたり次第に処分することではありません。間違えて捨てないように預金通帳や銀行印と実印、不動産関係の書類や土地の権利書、保険証書や医療関係及び投資関係の書類、インターネットバンキングなど重要サイトのアカウントなどを最初に取り分けます。金銭関係の書類は亡くなった後に再発行できない可能性もあります。相続の手続きにも影響しますから念のため保管した方が良いです。そして書類や家宝の保管場所が決めた後は、家族全員に伝えておくことも終活の一環です。


断捨離で身辺の整理を行うと気持ちが変わってきます。断捨離には物を処分する他に「自分の心を整理する」といった意味もあります。断捨離を行うことで諦めきれなかった思いに終止符を打つきっかけにもなります。「これからも続けたいこと」と「もうやめた方が良いこと」を見極める基準が見えてきます。


終活で断捨離をすることは、亡くなった後の家族への負担を軽減できたり、不要な物を捨てて気持ちを入れ替え、老後生活の快適性を高めることが出来るメリットがあります。
健康体でいるうちに断捨離を行い、素敵な老後生活を満喫しましょう。

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