おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

死に方は二通りあります

さて皆さんに質問です。人の死に方には二通りの方法があります。さあ何と何の死に方でしょうか?考えてみてください。ベッドで死ぬのと、畳の上で死ぬの、の二通り?癌で死ぬのと、それ以外の病気で死ぬの、の二通り?病院で死ぬのと、自宅で死ぬの、の二通り?残念ですが、すべて違います。


二通りの死に方とは書類上の違いです。人間が死ぬときに必要な書類があります。一つは死亡診断書、もう一つは死体検案書、どちらかの書類で貴方は旅立つのです。この書類は死亡届の右側に書かれます。そして死亡日から7日以内に役所に届け出なければいけません。
         
病院でお医者様が「ご臨終です」と死亡を確認してくれると、死亡診断書が発行されます。
死亡時間、氏名・性・生年月日の他に、死亡した場所、死亡の原因、死因の種類などが記入されます。歯科医師も書くことができます。死亡診断書には健康保険が適用されません。実費ですから医療機関が独自に決めます。一通あたり3,000円から1万円程請求されます。


それではもうひとつの死体検案書が書かれる事態とは、どのようなことでしょうか。火事、地震、津波、土砂崩れなどの災害事故死、ストーカーや殺人犯に殺された場合の事件死、誰にも看取られず、腐っていく孤独死、そして結構多いが自殺死です。
自宅で「突然亡くなった」などの死因が判明しない場合も、こちらの書類になります。


お医者が死亡診断書を書けるのは24時間以内にその患者の診断をしていて、なおかつ死因の判断が確定できる場合だけです。さきほどあげた病死以外の死亡は、死んだ人と病院の関係がないのと、なぜ死んだのかという特定が出来ないので死亡診断書が書けないのです。


死体検案書というのは、警察の依頼を受けた警察医が記入します。行政解剖が行なわれた場合は監察医になります。病院での死亡以外の異常死体は最初に警察の検視が行われ、その後死体検案が行なわれます。検視ができるのは警察の中でも検視官という特別な資格を持った刑事だけです。死体検案書は死亡診断書より高価になります。死因調査のための検案代や遺体の搬送代金、保管料、解剖が必要になれば死体を入れる袋代まで実費になります。一体につき3万~10万円程かかります。


死亡診断書又は死体検案書は死亡届と一緒の用紙ですから、提出してしまうと手元には残りません。この書類は死亡保険金の請求や銀行預金や携帯電話の解約などに必要です。コピーでも良いことがほとんどなので、受け取ったら必ず5部以上のコピーを取っておきましょう。どうしても原本が必要になった時は手数料を払って再交付してもらうことになります。


自宅の布団で静かに旅立ちたいと考えているのなら、必ず看取りをしてもらえる、かかり付け医を決めておいてください。最後の診療から24時間以内に死亡した場合と、死因がその傷病に関連していることが判定できれば、死亡診断書が交付されます。臨終に間に合い医師が看取った場合も問題なく死亡診断書がもらえます。


さて、貴方の死に方はどちらになりそうですか?
死亡診断書で旅立ちますか?それとも死体検案書で旅立ちますか?

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