おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

葬儀のマナーは何所に行った?

「この頃の若い者は」を、言い始めると、年を取った証拠だと言われます。


葬儀式への参列は老若男女が集いますから、
ハプニングも多々起こります。


20代から30代の若者の言動に違和感を抱くことが、何回かありました。



茶髪の若者数人が会社の先輩の通夜式に、参列しました。
 
故人とは、あまり面識が無いようです。
式場中央の焼香台へ列を作り進んだ迄は、良かったのですが、
 
数珠を1人しか持っていなかったので、次々と手渡をして合掌を、し始めます。


周りの参列者から
 
「数珠ぐらいもってこいや」
 
の小声があがりました。


式場を出て、彼らはホッとしたのでしょう。
何か面白いことを言ったのでしょうか。爆笑と言える笑い声が、
読経のみが聞こえるホールに響き渡りました。


さすがに、
 
「式中ですので」
 
と、声をかけさせてもらいました。 



ご親族の参列者に、若い母親がいることがあります。
赤ちゃんを抱っこしていて、読経の最中に大声で泣き出しても、
そのまま着席を続けています。ちょっと退席して泣き止むまで、
あやしたらいいのにと、思うことがあります。


歩くようになった小さいお子さんを連れている若い母親も、
意外と、お子さんの走り回りには、無頓着です。
読経中に走り回り、大きな鈴台にぶつかりそうになった時は、
私が、あわてて抱き上げに走りました。 



通夜式が終り弔問客、ご親族もあらかた帰り、お線香守りの、
親族の若者が数人、棺の周りにいました。
なにか、騒がしいなと思い、式場を覗きますと、
棺桶の蓋が外されて開いています。
 
そして、スマフォを代わる代わる差し出して、ご遺体と一緒の記念撮影です。


半分呆れながら、やんわりと声をかけました。


「仏様を、静かに、休ませて上げてください」 
 
葬儀式のなかでの常識が、伝えられない世の中に、
いつからなったのでしょうか。

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