おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

家族葬で悩むのは香典額

ひと昔前の一般葬では参列者の皆様が香典を持ち寄りました。それを集計するとある程度の金額が集まります。このお金で葬儀費用の喪家様の持ち出しが最小限に抑えられました。その後だんだんと香典辞退の風習が広がり始めました。それでも会社関係や町内会の規定による香典、ご友人とかご近所がどうしてもと差し出す香典と親戚関係から集まる香典でそれなりの葬祭費用の補助金になりました。現在の家族葬では一般の方からの香典と親戚一同の香典がほとんど見込めなくなりました。当然、喪家様一家に葬儀費用の負担分がすべてかかるようになってしまいました。


家族葬は葬儀全体の費用が安くなるなどと言われ、メリットが多いように感じるかもしれませんが、実は結構デメリットも多くなるのです。その一つが葬儀費用の捻出です。通夜式や葬儀告別式に故人の家族や親族が多数参列していた時は、それぞれがそれなりの金額の香典を用意してくるので、支払い費用に充てることが出来ました。本来の香典の目的である、急な支出に家族と親族が助け合う相互扶助が出来たのです。現在の家族だけでお葬式を行うと、結局すべての支払いは喪主様のご家族だけで清算することが多くなり、これが家計の大きな負担増になってきています。


家族葬には安い葬儀のイメージも強く費用面だけが強調される事も多くなります。家族葬を強調して周りに内緒で執り行うと、後日逝去を知った人々から、金額面だけで判断されて「親の葬儀にお金を出したくなかった子供」と周りから非常識な文句が出ることも少なくないのです。


家族葬の参列を、どこまでの家族親族にするかで、集まる香典の金額も変わってきます。施主と呼ぶあなたが故人と同居していた遺族にあたる場合や、お葬式の喪主をつとめる場合は香典を貰う立場になります。お葬式に呼ばれる側になると、故人と自分とのつながりが香典額の判断基準になります。親族の中でも続柄が遠い場合や普段の付き合いがほとんどない場合には、香典を出さないケースや金額も少なめになります。夫婦でお葬式に参列する場合は一般的には夫の名前で香典を包みます。夫婦の場合の金額は二倍まではいかなくとも、それなりに増やすことも必要です。


数々の家族葬を見てきました。問題なく清算が終わっていても、その後お話を伺うと、ご親戚が持って来られた香典額で、もめ事が起こったケースが多々ありました。


自分の親の葬儀の場合は、配偶者が出せる金額を用意し、足りない分は子供たち家族の均等割りが一番スムーズにいくように感じています。兄弟姉妹や義理の兄弟姉妹が亡くなった場合は、その兄弟の家族が施主になります。親戚として参列の場合の香典の金額は5万から10万程が相場です。兄弟姉妹の配偶者が亡くなった場合の香典も同様に考えます。義兄、義弟、義姉、義妹、又姻族である兄弟姉妹の義理の父母の場合を家族葬で行なう場合には親族としての参列が少なくなってきています。呼ばれた場合の用意する香典額は3万円前後だと思います。


ともあれ、施主が香典を貰えるかは当日まで解りません。多分この位は貰えるだろうと考えて算段するのではなく、いつか来る日のために、いくばくかの金額は用意しておくことは大事だと思います。


家族葬全盛ですが半面ますます香典額を気にする方が多くなった気がしています。

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