おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

準備は書類記入で始まる

病室で臨終を宣告した担当医がしばらくすると一枚の紙を手渡してきます死亡診断書です。この死亡の事実を証明する書類が無いと火葬許可証の取得が出来ません。この書類一枚からお葬式の諸手続きが始まります。受け取った死亡診断書はA3の用紙の右半分に記入してあります。広げると左半分が空白になっていて、空白部分を埋めると死亡届になるのです。


死亡届の記入はお葬式を行う喪主以外は出来ないと誤解している方が多いのですが他の人でも記入できます。大概は同居の親族がペンをとりますが同居をしていない親族でも可能ですし、家族や親族がその場にいない場合は家主や地主も可能です。ホームレスが死去した場合の行旅死亡人の死亡届の届け人は市長名義で提出されます。


死亡届に記入する内容と書き方を説明します。まず死亡届を提出する日付と提出先の役所名を記入します。提出期限は亡くなったことを知った日から7日以内です。次に故人の氏名、性別、生年月日を戸籍通りに記入します。死亡年月日は和暦で記入します。死亡時刻と死亡場所は死亡診断書に記載されています。


故人の住民登録がある住所を記載し故人が世帯主であった場合は世帯主欄にも氏名を記入します。故人の本籍地を記入します。これは覚えていない家族が大半です。


死亡した人の、夫又は妻について記入します。生きている場合は「いる」にチェックして年齢を記入し、未婚、死別、離婚の場合は「いない」にチェックを入れます。


死亡した時の主な仕事と故人の職業などは5年に一度の国勢調査が実施される年のみの記入です。この欄は任意記入なので、空欄のまま提出しても問題ありません。


届出人の住所本籍地氏名生年月日、故人との関係を選んでチェックし押印します。
届出人の連絡先は自宅の電話番号又は携帯電話番号を記入します。


死亡届に記載した内容を修正する場合は、届出人の認印を修正印として押印します。シャチハタは不可です。提出する時に記入間違いを指摘されると、修正印が必要になるので葬儀屋が預かります。他人に預けるので実印や銀行員は避けてください。


右半分にかかれた死亡診断書の部分は主治医だけが記入できます。他の人は記入してはいけません。皆さんがビックリするのが診断書発行手続きに必要な費用です。
死亡診断書は死亡を証明する公的な書類ですが、発行料金は法定化されていません。そのため医療機関によって料金は様々です。当然死亡した患者は保険診療ではないので公的医療保険制度は適用されません。全額自己(遺族)負担となります。


国立や公立の病院の料金は5,000円から1万円程度、私立の医療機関は料金の幅もありますが、それ以上の料金になります。ちなみに死体検案書の料金は3万円から10万円程と死亡診断書の料金よりもかなり高額になります。発行手数料はお医者さんの言い値ですから、遺族にとっては予想外の出費になることもあります。


死亡届の提出は代理で葬儀屋が預かり役所に火葬許可書の申請をしてくれますが、提出する前に忘れず死亡診断書のコピーを10部程とっておきましょう。このコピーは葬儀後の手続きで何度も必要になります。診断書の再発行は高いですよ。

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