家族に思いを伝える方法
葬儀屋にもセールスで営業の方が訪れます。当然、売り込む品々は棺桶とか骨壺、線香、蝋燭などの消耗品が主体です。その他にも、祭壇に飾る、いつまでも腐らないフェイクの果物盛り合わせとか、祭壇にご本尊の掛け軸を掛ける時に使う、自撮り棒のように延ばせる軸かけ棒などの変わった品々もあります。
先日の商談では販売促進のノベルティとしてエンディングノートを持ってきました。エンディングノートとは、人生の終末期を迎える時に、残された家族に対し、自身の考えを伝える備忘録でもあります。マスコミが取り上げた「終活」の一つで作成する人が増えてきました。自分自身の希望を伝えるだけではなく、家族に対してメッセージを遺せることが出来るのもメリットです。
亡くなるときのメッセージと聞くと遺書や遺言書を考えますが、これらはあくまでも財産の分配や残された遺族に対する要望を書くものです。遺言書には法的拘束力があるのも特徴です。遺書や遺言書は死期が迫っているときに作成するのが通例ですが、エンディングノートは必ずしも死が近い高齢者だけが作成するわけではありません。この頃は、死とはまだ無縁の若い人でも作成する人が出てきたようです。
ノートの内容を、亡くなる準備に限らず、人生計画を立てるため、そして自身の成長に繋げるために記入する人もいます。体力に余裕があるうちに、身辺をある程度片付けておく生前整理を行うのです。解約しなければならないサービスや、処分してほしい私物や、家族へ伝えたいメッセージなどが内容の一つです。エンディングノートを書いておくことで、残された家族はいろいろな決め事や手続きを進めやすくなります。
自分自身のためはもちろん、残される家族にも役立つノートなのは確かです。エンディングノートは亡くなる前後に役立つだけでなく、家族にとっては大切な形見にもなります。
このノートは遺言書ではなく、単に考えを記録しておくものに過ぎませんので、特に法的な力はありません。当然作成に当たっての法的なルールもないので手軽に考えてください。
遺書や遺言書でも家族への想いを伝えることはできますが、細かな部分まで伝えるのは容易ではありません。雑記という形であれば、自身が伝えたい希望をより細かく伝えることができます。自分のお葬式をこうしてほしいかとか、残りの人生をどのように過ごしたいかを伝えることも可能です。中には葬儀の形や、葬儀に参列して欲しい人を記入する欄もあります。亡くなった後に引き継いでやって欲しいことの記入欄もあります。
ノートにある全ての項目を埋めるのは大変ですので、ご自身が必要だと思うものから書き込んでいきましょう。過去ブログでも触れていますが、細かく記入されたエンディングノートの内容で、かえって残された遺族が困惑する場面もありました。
細かい記入欄のエンディングノートをめくりながら、必要な項目は何だろうと考えています。私は、自分が気に入った遺影写真の原板と、残された家族が困らないように伝えたい最低限の項目だけを書くつもりです。