おくりびとの日記

数多くの仏様を成仏させた「おくりびと」が、お葬式の出会いを綴ります。終活の参考になれば幸いです。

心を込めてお礼状を送る

先日、ご葬儀を終えられた喪家様より丁寧なお礼状を頂きました。無事に送り出すことが出来た安堵感と、葬儀当日にきちんとお礼が出来ないまま帰ってしまったことへのお詫びが記入されていました。施工時に特に変わったことをした記憶はないのですが、頂いた文面に感謝の気持ちが溢れました。一枚のお礼状のもたらす効果を改めて感じています。


お葬式のお礼状には、葬儀日に渡す会葬礼状と49日後に出す忌明け礼状があります。家族葬が大部分のこの頃では、亡くなって葬儀を行ったことを知らせる案内状を作成する方も多くなりました。


お葬式に参列した皆様に渡す会葬礼状では
「亡父 ○○儀 通夜葬儀にあたりましては ご多用中にもかかわらずご弔問ご会葬を賜りまして誠に有難うございました 本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中にてお礼を申し上げご挨拶に代えさせていただきます」
「わざわざご列席くださり ご芳情の程ありがたく厚くお礼申しあげます 取り込み中の事とて不行き届きの点も多々あったかと存じますが なにとぞご容赦くださいますようお願いいたします」 などとか
「ご遠路にも拘りませず 貴重なお時間をいただき式場までお運び下さいましてありがとうございました その節はゆっくりお話しするいとまもなく 誠に行き届かぬことと申し訳なく存じております」を付け加える方も多くなりました。


家族で葬儀を行った場合は訃報を知らせる範囲を限定しているので、故人と生前お付き合いのあった方や、故人が年賀状のやりとりをしていた古い友人などには、改めて訃報を知らせる案内状を送る必要が出てきます。


最初に故人が亡くなったことを伝えます。差出人と故人との関係を冒頭に持ってくるのがマナーです。「父 〇〇儀 〇月〇日に永眠いたしました」と報告します。


続いて家族葬として執り行ったことを詫びます。声を掛けなかった人に対して連絡しなかった気持ちを述べることはとても重要です。簡潔に家族葬にて見送ったと書くだけでなく「故人の遺志により」の一文を付けたほうが良いと思います。


続いて香典、供花、供物を辞退すると明記します。家族葬の場合、後日弔問に訪れてくれる人も出てきます。香典等を持参する人もいますから、きちんとご辞退を記します。


一番大事なのはこの挨拶状は、故人が亡くなったことを知らせるものであると同時に、生前に故人が賜ったご厚誼に対してお礼を言うために出す礼状なのです。今までの交友関係に感謝し、故人との関係を続けてくれたことに謝辞する一文を添えます。晩年の故人の様子等を書き加えるのも良いと思います。


最後に日付と差出人の住所、名前を記します。電話番号はあえて記載しない人が多いです。故人との緊急の連絡はもう不可能と知らせる効果もあります。


なんでもメールの時代になりましたが、残された人が葉書や封書で、故人の最後を皆様に知らせることはとても大事な務めです。

×

非ログインユーザーとして返信する