困った供花が届くのです
お葬式の施工の準備を始めていると、大手の花屋さんのギフト便で供花や花かごが届いたり、電話で喪主様の了解を得ていない供花の注文が入ったりし始めます。じつは、これが葬儀屋にとっても、喪主様とっても、とても迷惑で困る行為なのです。
供花(きょうか)とは故人に供える花のことです。お花で死者の霊を慰める意味と同時に、祭壇や会場を飾ります。お葬式の祭壇の横に親戚一同と書かれた供花が両側に置かれているのを見たことがあると思います。
仏式や神式のお葬式には菊・蘭・百合などの白い花をメインとします。他の色の花を飾る際にも、華美にならないように色合いを調整します。
キリスト教式では、百合やカーネーションなどが供花として選ばれます。仏式でよく用いられる菊はほとんど使用しません。自宅宛にバスケットに入れられた花を贈るのは、葬儀を行う教会へ運びやすいからです。
ひと昔前は 造花で飾られた大きな花輪を並べました。花輪は葬儀社か花輪専門店に注文して借りましたが、やたらと大きく場所を取り、送り主の名が大変目立つので、売名行為と捉えらました。何より、造花にはありがたみが無く、急速に廃れていきました。
現在、お葬式を行う大部分の喪家様は「お香典ご辞退」を打ち出します。この後に続くのは「供物・供花の儀は固くご辞退申しあげます」なのです。
「香典をとらないなら、花でも送っとけ」は、喪家様に余計は気を使わせてしまいます。
「ネットでギフト花屋に注文しとけ」は、違う形の供花が届き、なおかつ、お通夜の前に会場に届くようには調整していないので、日時が合わず、とても迷惑なのです。
祭壇脇に並べられた供花は会場を賑やかにします。葬儀屋と祭壇花を作成する花屋は、バランスと色合いを考えて供花を作ります。勝手にギフト便で送りつけられる供花は、形や色合いも違い並べにくいのです。何よりも喪主様や世話人等の遺族の意向を確かめず、了承を得ないで供花を送りつけるのはマナー違反です。
供花を贈る際は、手配の前にまず遺族の意向を確かめてください。故人やご遺族のことを思って手配した供花であっても、マナー違反では迷惑な印象を与えてしまいます。そして、了解を得たならば、お葬式を行う葬儀社を通して頼んでください。了解を得て直接注文する場合は、日時をはっきり指定し、必ず通夜式の前に届くように手配してください。
供花は遺族や親族そして故人と親しかった方などが贈るお悔やみの方法の一つです。友人や会社の名義で贈る場合は、必ず喪主様に連絡を取り、お葬式を行う葬儀屋に注文する方法が一番確かです。
今日も祭壇脇に、残された人の思いのこもった供花が並びます。
祭壇花とアレンジを揃えて用意された供花に囲まれた遺影写真が微笑んでいます。